試練の道
偶感(トラックバックテーマ) > 心と身体編 - 2014年07月13日 (日)
小学5年の時の話です。
親に10段変則サイクリング車を買ってもらいました。
大冒険の始まりです。
多くのことを知りたい。広い世界を眺めたい。
自分の殻を破りたい。一歩でも遠くへ。
「千里の目を窮めんと欲して、更に一層楼を上る。」
連日のように、友達と自転車で出かけました。
川沿いの道を、時間の許す限り辿る。
電車道に沿って、終着駅を目指す。
国道が、どこへ続いているのかを確かめる。
親には言えないくらい、行動範囲が広がりました。
今回、楽しかった…というより、
記憶に残る思い出話をさせて頂きます。
小5の夏休み、私と友人は、
六甲山系の山道を探索していました。
山道を自転車でひたすら上り、半日近く遊び、
お腹いっぱいに冒険欲を満たしました。
そして待望のメインイベントです。
甘美なスリルを味わうため、下り坂を疾走します。
我慢と忍耐を積み重ねて上った坂道、
それを一瞬の喜びに爆発転換させながら一気に坂道を下り、
家路に着こうとしたわけです。
が…
麓へ降りたら、全く知らない町でした。
(下り始めてすぐ、帰り道を90度間違えていました。
隣の、そのまた隣の市へ下山。)
町中で時計を探しました。
時刻は夕方5時を指し示していました。
標識を見ても知らない地名ばかりです。
帰り道が分かりません。
達成感や爽快感は消え失せ、
ぼんやりとした寂寥感に包まれました。
走行中ふと感じた違和感、
猛烈な勢いで坂道を下りながら、この道は正しいのか?
友達は、この道を分かって走っているのか?
合っていてくれ、知っている場所へ出てくれという切ない願い…
友人がポツリと、「合図して途中で止まればよかった…」
私「道知ってた?」
友「知らんかった。」
私「オレも知らんかった。」
後悔とともに、間違えたであろう岐路だけが、
私たちの脳裏に鮮明に浮かんできました。
双六に例えると、
ゴール直前に振り出しへ戻らされた状況です。
しゃがみこんで泣き出したくなるような心境です。
心がいじけても、助けてくれる親はいません。
私のためにも、友人のためにも、
虚勢を張るしかありません。
友情を守るためにも、立ち向かうしかありません。
打破するしかありません。
友人と相談しました。
答えは初めから分かりきっていました。
今下ってきたばかりの坂道を、どれだけ時間が掛かろうとも、
間違えた地点まで引き返すしかないということ。
眼上に再び聳え立つ山。子供にとっては急峻ともいえる坂。
楽しかった思い出も、冷えた汗とともに夢散。
疲労だけが蓄積した状況下、
今度は、楽しみのために登坂する訳ではありません。
ミスを取り返すため、責任を果たすため、
何より家路の途に着くため、走破します。
心細さを増幅させるかのように、西日は大きく傾いています。
背後から漆黒の闇が、ひたひたと迫ってきます。
慙愧の想いを隠し、不安を抑えこみ、疲れた身体にムチ打って、
初めの一歩を踏み出しました。
流れる汗を拭う余裕もなく、心を奮い立たせる余力もなく、
悲壮感も、ちっぽけな男のプライドもそぎ落とし、
ただ無心。ひたすらペダルをこぎました。
声を掛け合うでもなく、励まし合うでもなく、
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」互いの息づかいを肌で感じ、
時には見つめ合い、頷き合い、
持てる力いっぱい、自転車を押しました。
時刻は7時を過ぎていたと思います。
夕闇迫る中、山頂手前で帰り道を発見。
それから…互いに何事もなかったかのように振る舞い、
「お腹空いたな。」友人と微笑み合いました。
当時の記憶、照れくさくて嬉しさをかみ殺したのか、
喜ぶ余裕がなかったのか、定かではありません。
ぽつりぽつりと言葉を交わしたことは、
記憶に微かに残っています。
ブレーキを軋ませ、ゆっくり2人で走行しながら、
見下ろした我が町、夜景がきらめいていました。
私の断片的な記憶はここまでです。
私の甘酸っぱい冒険談。
帰宅時刻はおそらく8時過ぎ。
親には怒られなかったと思います。
ちなみにその友人とは、中学高校と
陸上部で同じ釜の飯を食いました^^
親に10段変則サイクリング車を買ってもらいました。
大冒険の始まりです。
多くのことを知りたい。広い世界を眺めたい。
自分の殻を破りたい。一歩でも遠くへ。
「千里の目を窮めんと欲して、更に一層楼を上る。」
連日のように、友達と自転車で出かけました。
川沿いの道を、時間の許す限り辿る。
電車道に沿って、終着駅を目指す。
国道が、どこへ続いているのかを確かめる。
親には言えないくらい、行動範囲が広がりました。
今回、楽しかった…というより、
記憶に残る思い出話をさせて頂きます。
小5の夏休み、私と友人は、
六甲山系の山道を探索していました。
山道を自転車でひたすら上り、半日近く遊び、
お腹いっぱいに冒険欲を満たしました。
そして待望のメインイベントです。
甘美なスリルを味わうため、下り坂を疾走します。
我慢と忍耐を積み重ねて上った坂道、
それを一瞬の喜びに爆発転換させながら一気に坂道を下り、
家路に着こうとしたわけです。
が…
麓へ降りたら、全く知らない町でした。
(下り始めてすぐ、帰り道を90度間違えていました。
隣の、そのまた隣の市へ下山。)
町中で時計を探しました。
時刻は夕方5時を指し示していました。
標識を見ても知らない地名ばかりです。
帰り道が分かりません。
達成感や爽快感は消え失せ、
ぼんやりとした寂寥感に包まれました。
走行中ふと感じた違和感、
猛烈な勢いで坂道を下りながら、この道は正しいのか?
友達は、この道を分かって走っているのか?
合っていてくれ、知っている場所へ出てくれという切ない願い…
友人がポツリと、「合図して途中で止まればよかった…」
私「道知ってた?」
友「知らんかった。」
私「オレも知らんかった。」
後悔とともに、間違えたであろう岐路だけが、
私たちの脳裏に鮮明に浮かんできました。
双六に例えると、
ゴール直前に振り出しへ戻らされた状況です。
しゃがみこんで泣き出したくなるような心境です。
心がいじけても、助けてくれる親はいません。
私のためにも、友人のためにも、
虚勢を張るしかありません。
友情を守るためにも、立ち向かうしかありません。
打破するしかありません。
友人と相談しました。
答えは初めから分かりきっていました。
今下ってきたばかりの坂道を、どれだけ時間が掛かろうとも、
間違えた地点まで引き返すしかないということ。
眼上に再び聳え立つ山。子供にとっては急峻ともいえる坂。
楽しかった思い出も、冷えた汗とともに夢散。
疲労だけが蓄積した状況下、
今度は、楽しみのために登坂する訳ではありません。
ミスを取り返すため、責任を果たすため、
何より家路の途に着くため、走破します。
心細さを増幅させるかのように、西日は大きく傾いています。
背後から漆黒の闇が、ひたひたと迫ってきます。
慙愧の想いを隠し、不安を抑えこみ、疲れた身体にムチ打って、
初めの一歩を踏み出しました。
流れる汗を拭う余裕もなく、心を奮い立たせる余力もなく、
悲壮感も、ちっぽけな男のプライドもそぎ落とし、
ただ無心。ひたすらペダルをこぎました。
声を掛け合うでもなく、励まし合うでもなく、
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」互いの息づかいを肌で感じ、
時には見つめ合い、頷き合い、
持てる力いっぱい、自転車を押しました。
時刻は7時を過ぎていたと思います。
夕闇迫る中、山頂手前で帰り道を発見。
それから…互いに何事もなかったかのように振る舞い、
「お腹空いたな。」友人と微笑み合いました。
当時の記憶、照れくさくて嬉しさをかみ殺したのか、
喜ぶ余裕がなかったのか、定かではありません。
ぽつりぽつりと言葉を交わしたことは、
記憶に微かに残っています。
ブレーキを軋ませ、ゆっくり2人で走行しながら、
見下ろした我が町、夜景がきらめいていました。
私の断片的な記憶はここまでです。
私の甘酸っぱい冒険談。
帰宅時刻はおそらく8時過ぎ。
親には怒られなかったと思います。
ちなみにその友人とは、中学高校と
陸上部で同じ釜の飯を食いました^^